付き合うなら、「理想通りの性格」のひとよりも、「理想通りの顔」のひとがいい
たしかそう
「顔がめちゃくちゃかわいいけど、性格が全然理想通りじゃない人、顔はかわいくないけど性格は理想通りでどんぴしゃだーって人、どっちがいい?」
みたいな話をぼくらはしていたはず。
いやあ、顔は3日で飽きるよ。
なんだかんだで性格いいほうが長続きしそうじゃない?
そんなことを言い合っていて。
理想通りの性格の人、理想通りの顔の人。
理想通りの恋愛。
男3人が集まってそんなことを仙台のアーケード通りを歩きながらやんややんやと話をしていた。
ぼくともう一人はやっぱり性格推しで、顔はその時々で好み変わっちゃうしな、マネキンでいいじゃんそしたら、おれ篠田麻里子のマネキンほしいわみたいな結論になっていた。
性格大事。
性格大事。
うん。
そのときにもう一人が質問してきた。
「それっておれがその人たちどっちも気になっちゃったっていう前提?」
いやなにその設定。この質問にその設定いるかおいとか言っていると、
そいつが、性格が理想通りじゃなくてもよく分かんないけど好きになっちゃうみたいなこと、あるでしょということを言ってきたので、
「じゃあいいよいいよ、どっちの子に対しても気持ちが入っちゃってるとします、はい。で?」
と条件を追加した。
「だったら、顔がかわいい人がいいな、おれ」
彼はためらいなく言ってきた。
おいお前、紳士に見えて意外と面食いなのな、なあ? おいおい、サイテー、とか笑っていると
どっちかっていうと、選んだ人を理想の人って思えればいいんじゃないの。
と言ってくる。
「深え……」
一瞬沈黙した後に
なんか深いことを言われた感触だけが残る。
それから
その言葉にどうしてこんな場所でこんな深いことを言われにゃならんのだと、あわてふためいた。
*
いや、イライラするよ、性格合わなかったら。きっと喧嘩ばっかりになる。
みたいなことを、深いこと言われた勢のぼくら二人が、必死に抵抗した。
そんな必死の抵抗にもかかわらず、彼はまた言ってのける。
全部が全部、性格理想通りって絶対になんか隠していると思うし、もしそうだとしてもマンネリしていくと思うんだよね。
恋愛博士か。
「むしろ性格ドンピシャじゃないほうがいいんじゃないかなあ。
だって想定外のこととか出てきて「あ、こんなところあったんだとか」そういうふうに思えたら楽しいじゃん」
いやぁ、イライラするよ?それ絶対こういう状況だから言えることだって。
彼を恋愛博士にしてなるものか。
必死に抵抗を試み続ける。
ラーメン屋に入ってもその話は続いた。続いたけれども。
まあ、結局ケンカしたとしてもさ、そういうケンカの積み重ねが、愛情ってもんでしょう。
というキレイにまとまりすぎた彼の発言はぼくらをメッタ刺しにして終焉を迎えた。
恋愛博士の手によって、ぼくは考えを改めた。
他人というのは、じぶんとは違うものだから全く同じ考えをするわけがないし、行動をするわけがない。
予想外が、基本。
そういう「予想外」がネガティブなものになると「は!?」ってなって「ケンカ」になり、ポジティブなものだと「へえ」ってなって「発見」となるんだろう。
理想通りじゃない性格から予想外のことが出てきて、ケンカして、発見して、そうやって乗り越えてきた時間と努力が財産だし、何よりもその時間の積み重ねがふたりを形作っていくものなんだろう。
と書いておくことで、恋愛博士よりも一歩先を進んでいる優越感にひたっている。
人生をかっぽしよう
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