彼女の会話力スキル「あなたってこういう人」が逆効果だった
たとえばこんな「雑談上級スキル」がある。
「あなたって家族思いの人なんだね」
「あなたって優しい人なんだね」
「あなたって努力家な人なんだね」
こんな感じで、
「あなたってこういう人だよね？」
という「人間性」についての突っ込んだ話や問いかけをすることが
人間関係を深めるスキルとして挙げられています。
けど、彼女の場合は違いました。
「決めつけるよねー」
そんな言葉に悩まされることになったんです。
相手が喜んでいると思っていたのは自分だけだったかもしれない
cookies / ginnerobot
その言葉を彼女の友達は、笑いながら、彼女に向かって言った。
彼女は最初、何を言われたのか分からなかった。
「はい？」
だから友だちに聞き返した。
すると
「決めつけが早くない？『こういう人』って」
笑って指摘されたけど、彼女はこの言葉をその後ずっと引きずることになる。
それまでは
相手が喜んでいるのを見て、
相手のことを褒めて「こういう人だよね」って言うことは
すごく良いことだと彼女は思っていた。
だって、それは相手が喜んでくれることを自分なりに言っているつもりだったから。
けど、相手は笑っている顔の向こうで
「決めつけて、何も分かってない」
と思っていたんじゃないかと反省することになった。
周りとのコミュニケーションはスムーズにいってるし
むしろ上手なほうだと思っていた彼女の、はじめてくらいの大きな挫折だった。
パートさんとのやりとりで壁を乗り越える
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それはバイト先のパートさんとのやりとりの中だった。
「◯◯ちゃんってさ、話を聞いててけっこう繊細なように思うんだけど、違う？」
そう確認しながら話す様子を見て、
何となくあのときにぶつかったことへの答えを得た気がした。
「話聞いてて思うんだけど、結構こういうこと好きだよね？」
「かなりこういうこと嫌いじゃない？どうなの？」
友人がこうやって返してくれることに、
あの日失敗した自分がふわっとよみがえって、
同時に、ああ、これならすごく楽だなと思う。
この人みたいになれたらいいなあ。
自分なりに理解したことを、押し付けずに、そのたびに確認してくれるから。
決して自分で相手を勝手に勘違いせずに、答え合わせを少しずつしてくれるから
「いや、違うよ」とか「ああ、そうかも」とか言い返せる。
優しいな、
と聞いているときに彼女は思う。
深く入り込む分、ゆっくりと
Cookies / StuartWebster
「あなたってこういう人ですよねえ」
っていう切り返しというか、コメント。
これは雑談力なんかの本で相手と深くつながるための
大事な会話術として紹介されていることが多いわけで。
そしてけっこう深く親近感をつくるときに、この
「こういう人」という、
「人間性」に突っ込んだ話ってのは大きな意味を持つ。
だから一歩踏み込んで話したいことではあって。
けど、気をつけないといけないのは、
相手の「人間性」という深い部分に入り込むからこそ、
決めつけちゃうような言い方になると、反発を受けること。
仲が良かったり気分良かったりすると流してもらえるんですけどね。
型にはめることが嫌がられることは、以前も書きました。
僕が言われて不快になったのは、話を「つまり」で「圧縮」されたから。心地良いのは「違うよね？」
「今日あっついね」
みたいな自分とは関係のない天気の話とは全然レベルが違うわけです。
人には大切そうに見えないものでも、他人にはものっすごい大切かもしれない。
だからそういうときには、
決めつけずに、確認しながら。
「こう思うんだけど、違うの？」
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