ゆずレモンミントティー と おっさん
閉店間際のカフェが好き。
1日の予定が全て終わってからカフェに30分だけよく入る。
飲み終わりの大人たちがうだるように街を練り歩く姿を抜けて、
カフェに入ると、さっきまでの騒がしさとは一歩横にずれた人や空間があって。
そこのすっぽり開いた空間が、なんとなく好き。
ほっと一息つきたかったので
ゆずレモンミントティーを頼む。
何だか名前からしておそろしくリラクゼーション効果がありそう。
いや、そんなにわたしゃ癒されたいわけではないけどもね。
「なんだかんだ言って稼ぐために仕事しなきゃ。でしょ?」
お店にはお客さんがほぼいなくて
店の隅っこでおっさんがお嬢さんに世間の厳しさを教えたつもりでいる。
お嬢さんはそうですね、と受け流す。
声だけ聞いても、半分だけ聞いてる感じ。
お嬢さんはたぶん、おっさんよりもうまく生きていくだろう。
使い切られたレモンを見ると可哀想になる。
お茶の中にレモンの味やら風味やらを出し切った出がらしを。
初雪を見たときも同じ感覚を持ったことがある。
彼らは後から来る雪たちが積もれるように、道路を冷やす。彼らは積もることはない。
鉛筆のお尻の部分もおんなじ。先っぽの部分は、鉛筆としては使われない。
「あ、もうこんな時間だ」
とおっさんが言って、お嬢さんの分も会計する。
出口でお嬢さんがごちそうさまでしたとお辞儀する。
お嬢さんはきっと、うまく生きていくだろうなと思う。
おっさんは、上機嫌に笑う。
店を出る前に、レモン頬張ってみたら、
やっぱり酸っぱかったから、
申し訳なさを感じながらも食べれないと思った。
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