「ONE PIECE(ワンピース)みたいですね、世界史って」と家庭教師先の生徒が言う
「『ONE PIECE(ワンピース)』みたいですね、世界史って」と家庭教師をしている生徒が言ってくれた。
ちょうどテスト前ということもあったのだけど
「世界史っておぼえづらいしつまらない」と言うので
聞くと、一個一個は覚えているけど、大きな時代の流れが全然分かっていない。
ので、なぜそういう戦争が起きたのか、なぜその人がそんなことをしたのかというストーリーを話した。
ちょうど、19世紀あたりの話。今から150年前くらい。
ヨーロッパやアメリカは、大航海時代を経て、海の外へと権力を広げようとしていた。
ロシアは南へ南へと領地を広げようと地中海・クリミア半島に乗り込むけども、そこにオスマン帝国、イギリス、フランスはクリミア戦争によって抵抗し、ロシアを撤退させる。
ロシアは戦争によって国内が荒れ、知識を持ったひとたちが、移動の自由がほぼない農民たちを生み出す社会格差のあり方を変える運動を起こしていく。
一時は巨大な力を持った中国清朝も、イギリスとの貿易で国に蔓延したアヘンに手を打とうとし、そのトラブルから起きたアヘン戦争に敗けたことをきっかけに、フランス、アメリカ、日本と不利な条約を結ばれ、弱くなっていく。
その状況に、政治を変えようとする中国のひとたちが、「ヨーロッパからは技術だけ取り入れよう。中国の伝統的な思想を基本として持とう」と「中体西用」をキャッチフレーズに掲げて動き出す。
ドイツ地域では、プロイセンがついに王者オーストリアを倒し、ドイツ地域覇者になる。
ビスマルクを中心に、国内での政治も充実させ、社会保険のはじまりをつくり、民を守るという画期的な事をなし、国家の役割に新しいかたちをつくりだす。
日本も、アメリカからの圧力と闘いながらも、外へ外へと領地を広げようとし、朝鮮や中国清朝へと乗り込んでいく。
こうして、大航海時代から始まった海の外へと新しさを求めて各国が乗り込んでいく動きが、次第に国同士の権力争いを激しくさせ、王者は落ち、中堅はのし上がり、他の国は国内が乱れ、「このままじゃ国がダメになる」と考えた知識人が他の人たちを巻き込んで新しい考え方を動かしていく。
その葛藤が20世紀、ついに世界大戦を起こしていく。
「戦争って大したことないことでやられるもんですね」
「時代を変えるのって農民と知識人なんですね」
「何が正しいのかなんて分かんないですね」
と聞いていた生徒が言う。
で、「けど世界史初めて面白いと思いました」と言ってくれて。
お世辞なのかもしれないけど。
なぜ歴史を学ぶかってのは、
指導要領にも
「現代の諸課題を歴史的観点から考察させることによって,歴史的思考力を培い,
国際社会に主体的に生きる日本国民としての自覚と資質を養う」
と書いてあるように
「今自分たちが、どんなことを経験してきたつくられた世界の地平に立っていて、今ここで何をしなければいけないのか」
これを考えるため。
なぜ日中問題があるのか、
日韓問題があるのか、
米露(中)はあるとき仲が悪いのか。
なぜアフリカは貧困にあふれているのか。
なぜ沖縄に米軍基地があるのか。
今後、日本史は必修になるなんて流れもあるけれど、
教員の方々には出来るだけこういう意図を踏まえて欲しいし、自分もその助けになりたいなと思うんです。
*
世界は正しさに満ちているようで、実は満ちていなかったりもするし、葛藤していたりもする。
マンガ『ONE PIECE』みたいに、海軍が悪かもしれないし、Dの一族がまさか…なんてこともある。
けど、「そんな世界で私は何をするか」を考えるのが、歴史の授業なのだと思うんです。
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