「君しかいない」という一途さほど、うさんくさいと彼女は思う
「考えたけど、Aさんしかいなくて」
と、なかなかにガヤガヤしたカフェの隣の隣くらいの席で、
男性が話していたのがチラッと聞こえる。
そういう言葉ってのはなぜだかやけにハッキリして聞こえる。
「告白してる」
ぼくと一緒にいた女友達が言う。
「だね」
けど、あとは聞き耳を立てても、もごもごした声しか聞こえなく
しばらくすると、二人は席を立っていって、結果はよく分からない。
「一途だね」とぼくが言うと
「ああいう一途さを作ってるのが一番うっさんくさいよね」
二人が去った後に、女友達が、言う。
好きな人には、他の人と遊んできてほしい
「あたしだったら、もっと他の人と付き合ってから来て欲しいと思う」
と女友達。
「え、なんで? 良くない?一途な人」
「やだー」
なんでだ。
「一途になってるときって、どっちかって言うと
相手のことを見てるっていうよりも、
自分自身で作り上げた理想・幻想の相手の姿みたいなの好きになってること多いよね」
「いや、そんなことないでしょ
ほんとに相手を見てきて、言ってるんだよ」
自分を弁護する気持ちも込めて、反論する。
「他の人も見てないのに? お前だけだよなんて分かる?」
その言葉に、一瞬ぎくりとする。
「『他はよく分からない』『この人がいい』
ってのだったらまだ分かるんだけど
『おまえしかいない』ってのは
勝手に相手に対して夢理想を抱いてるか
相手が喜ぶと思って嘘言ってるか」
あ、たしかに。
自分の胸に手を当てる。
「で、そういう人って勝手にガッカリするんだよね
で、勝手に怒って気持ちぶつけてくるし」
あ、たしかに。
自分の胸に手を当てる。
「だったら、遊び人でもいいから他のたくさんの人と付き合って
けどなんとなくでも、おまえがいいな、って言われた方が良いな」
なんとなく、あなたがベストです
たしかに「これしかない」なんて、一体どこまで見て言ってんだよって話。
「いろいろ見てきた結果、やっぱりここに落ち着いた」
はっきり言えば「今んとこ、あなたがベストです」っていうことなのかもしれません。
「よくわかんないけど」くらいでも。
よくわかんないけど、すっぽりはまってくれるなら、それはそれで嬉しいかも。
「他の人とも付き合ったけど、やっぱりあなたがいいみたい」
運命の出会いなんて、ねえんだよバーカ
で出てきた彼のように、理想ばかり追いかけると、理想に苦しめられてしまう。
だったら
いろんな道を歩いてきましたけど、やっぱりここに帰ってきました。
みたいな。
ちょっと嘘くさすぎですか。
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