「それ いらなくね?」イラつく彼の言葉が「裸の王様」の僕を実は救ってた
「それいらなくない?」と言ってくれる彼と離れたことが、ぼくの「裸の王様」の始まりでした。
「それ いらなくない?」
「いるって!いるからやってんじゃん」
ぼくがそういう反論をすると
「なんで?」
「あん? だってさ……」
ぶつくさぶつくさ……
彼とぼくはそういうやりとりをいつも繰り返していまして。
せっかくこっちが考えてきたことに対して、平気で言う。
よくケンカしていました。
だからぼくは彼があまり好きじゃなかった。
むしゃくしゃするぼくは、次第に彼に何も見せなくなって行きました。
相談しなくなって、一緒にいろんなことやろうという関係からいつの間にやら彼も離れて
あまり連絡しないようになりました。
大地さん言いづらかったんすけど
飲み会のときに、後輩が、静かに近づいてきて、少し申し訳なさそうに言う。
「大地さん、言いづらかったんですけど、あの企画、いらなくないすか?」
「あの企画」というのは「新しいことをやろう!」とぼくが威勢良く言ったことでした。
「いらない?なんで?いるよ」
「そうなんすか」
「だってさ……」
「……いや、大地さんの言いたいこともわかるんですけど、じゃあこういうやり方でもよくないすか?」
「んー」
自分のやりたいことに水を差された気がしてムスッとしつつも、後輩の指摘に、たしかにそうだなあと納得。
なので、自分のアイディアを修正することにしました。
「うん、やっぱちょっと見直すか」
ぼくは「裸の王様」になってた
Nutcrackers question Mouse King / David McSpadden, off-line until June
むかしむかし、ある国に王さまが住んでいました。
王様は服が大好きでした。
ある日、まちにふたりの詐欺師がやってきました。
詐欺師は布織り職人だとウソをつき、世界で一番の布が織れると信じさせていました。
その布について、詐欺師はまちのひとたちにこう教えました。
「自分にとって役立たずな人と、バカな人には透明で見えない布なのです。」
それはまち中のウワサになり、王様の耳にも入りました。
王様は言います。
「もしわしがその布でできた服を着れば、
家来の中から役立たずの人間や、バカな人間が見つけられるだろう。
それで服が見えるかしこいものばかり集めれば、
この国ももっとにぎやかになるにちがいない。
さっそくこの布で服を作らせよう」
王様は詐欺師に布を織って服を作らせました。
大臣も役人たちも、みんな自分が役立たずでバカだと思われたくないので、
みんなで王様の服が見えたふりをしてほめちぎりました。
さらに王様はその服を着てパレードをすることにしました。
まちのひとたちも、自分が役立たずでバカな人間だと思われたくないので
みんなで王様の服が見えたふりをしてほめちぎりました。
しかし突然、小さな子どもが王さまに向かって言いました。
「王さま、はだかだよ。」
……
これが、『裸の王様』のおおまかな話の流れです。
「それ、いらなくね?」と言われないことで、自分のアイディアが本当に必要なのか?と否定的な意見が耳に入らなくなった自分は、まさしく「裸の王様」でした。
だれもかれも、「すばらしい」と言う。
けど、本当のことを自分は気づかない。
そのマヌケな状況に気づいたんです。
「いらなくね?」を一度は自分に突きつける
「人を否定しない」
それはたしかに必要なことなんですけど、
あまりにもポジティブな空気が、今度は人を盲目にするんだと気付きました。
「あれやろうよ!」
「いいね!」
「これいいよね!」
「いいね!」
気づけばみんなで無理心中。
さらには、あれもしたいこれもしたいと足していくと、
余計なことがどんどん付け足されて、結局何がしたかったのか分からなくなったりもする。
アイディアなんかだとそれはよくあることで。
ぼくはそれを「アイディア太り」って言うんですけど。
そういうときに「それいるの?」という疑問を投げかけるのはとても大切で、
やっていくうちにいろんなものを両脇に抱え始めて、無我夢中になって熱くなる自分に、冷水をかける。
それが存在することに疑問を投げかけられたり、否定されたりしても
それでも「必要なんだ」「やるんだ」「だって!」って言えることって本気なんだって思ったんです。
だから、ちょっとイラっとしても、不安になるとしても、
そうやって「いるの?」「いらなくね?」っていう疑問には突きつけられた方が良い。
それでも、理由はどうであれ「やっぱりやって後悔したい!」ってなったらぼくはやるようにしています。
そしてまさに
ぼくにとっては、「いるの?」「いらなくね?」と冷水をかけて冷静にしてくれるのが、仲たがいした彼だったんですね。
それにしばらくしてからしか気づけなかったのだ、ちょっとした後悔でした。そして同時に彼に感謝でした。
***
自分が裸の王様にならないように。問うべきは「それ、いるの?いらなくね?」
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