「えっ何それ」
笑った。
彼が真面目な顔をして「恋人会議」なる言葉を出してきたからです。
不安なことを言い合える場所を作るために
恋人とふたりで会議をするらしい
けど、これ笑って馬鹿にするわけにもいかないんです。
不安や不満をためないで、共有できる仲になるためには
意外と的を得ていることでした。
Time for dinner / Takashi(aes256)
「どういうふうに会議するの?」と聞けば、彼はこう言いました。
その日だけは、恋人と一緒に一ヶ月を振り返るみたいな。
ちょっと高めのご飯に行って、少しだけお酒を交えて、話をする。
それで
「最近、おれに言いづらいことあった? 私に言いづらいことあった?」
「なんか不満に感じてて言い出せなかったことある?」
なんてことをお互いに聞いていく。
「食べた後に洗い物して欲しい」とか
「遠出するなら一言連絡欲しい」とか
「異性と食事するなら行く前にひとこと伝える」とか。
ルールは、言い返さないこと。
受け止めて、お互い終わり。
質問をするのは、あり。
それがある程度言い終わると、そこからは
来月はどこに行こうとか、何食べようみたいな話をするらしい。
まだ「会議」というハッキリしたかたちになっていない最初の頃は、
彼のほうが、月末になると彼女を誘って
「今日は日頃言えないことでも、言いたいこと言って。聞くから」
と言っていたらしいのですが
そのうち彼女も、月末になるとそういう日なのだと気づくようになって
あるとき
「そっちも言いたいこと言って、聞きたいから」
と逆に言われるようになり、その日から月末のその日は
お互いがお互い、いつも言いたいけど言えないことを伝える日にしたんだとか。
それが「恋人会議」
「いや、『会議』なんて
そこまでかしこまらなくてもいいんじゃないの?
普段の生活の中でそれとなく話せばいいじゃん」
会議の成り立ちには胸を打たれたものの、ぼくは水を差すようなことを言う。
何となく、なことはいつ言っていいかわからない。
言ったら言ったでネガティブになって
ケンカになったり別れ話になったらどうしよう。
だからこそ言えなくなる。
そうして
モヤモヤが少しずつ少しずつ、ジェンガの土台のピースを抜いていって不安定にして
大きな音を立てて不満が吐き出される。
そのときには、全てが終わっている。
「普段の生活の中でそれとなく話せばいい」とは言っても
日常の中で言いづらいことを言うと
聞く気持ちができていないから、やっぱりどこかムカッとしてしまうのだとか。
それが「今日は聞くぞ」と思えているだけで、だいぶ受け止められる。
彼も彼なりに、いろんなことを経験してきて考えたことでした。
いつ『恋人会議』なんて発案したの、と聞くと
テレビで芸能人が定期的に家族会議をしているというのを観て
その会議では普段おろそかにしがちな家族の問題をきちんと話し合う、
と言っていて、
これだ、と思いついたらしいのです。
Italian de-light / Daniel Dionne
言いあえる場所を作ったり、言い合える文化をつくると
ネガティブなことを口にする関係はむしろプラスになっていく。
文句じゃなくて、不安なこと、心配なこと。
ここが危ないね、じゃあここにジェンガのピース補強しとこう。
じゃあ私はこっちにひとつピースはめておくね。
そうやって、だんだんと土台が強く強くなり、高く高く積み上がる。
それは、ふたりにしか作れないものだと思うのです。
*
「会議の中で、『ありがとう』も言えると、もっと素敵な会議になるんじゃない?どう?」
とぼくが提案すると、「いいね、そのアイディアもらった」と彼が喜ぶ。
「恋人会議」
ネーミングは、いつも論理的な彼らしいと思って、やっぱり微笑ましくて笑う。
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