人生かっぽ

人生かっぽ —佐藤大地ブログ

哲学、言葉、人生観、仕事、恋愛、など人生をかっぽするような物語をつむぎます。宮城県 仙台市を主な活動拠点とする佐藤大地のブログです。2014年からEvernote公式アンバサダー。大学院では政治学を研究していました。

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死ぬこと以外はこの国ではかすり傷なんだよ

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死ぬこと以外はかすり傷なんだよ。
この国では案外死なない。


こういう言葉が、ある一定の挑戦をする人たちからは出始める。

先日も、ぼくの兄貴分の方にお酒の席に呼んでいただき、
その道すがら、そんな話をした。

右手に日本酒、左手にビールみたいな状況をしばらく続け、
そこそこに良い酒の味も、
もはや水だみたいだな、なんて失礼な感覚になった帰り道のこと。

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じぶんで事業を起こしたい。
がむしゃらに動き回っていた大学生のとき、
たくさん聞いた言葉がある。


「死ぬこと以外はかすり傷だよね、この国は」


すごい言葉だと思ったけど、
聞いた時は
じぶんの中には実感がなかった。




ぼくは大学院生のとき、個人の事業で数十万の借金を背負わされたことがある。


今でこそ、それほどではない借金だったと考えられるけれども、
そこそこの金額しか手取りとして手に入れていなかったぼくとしては、
その金額はとても大きなものだったし、
逃げ道を奪われるようなものだった。


その借金自体のくわしいことを喋るのはここでは控える。

けれども、
簡単に言ってしまえば
ぼくの仕事がクライアントの思ったほどの成果をあげなかった。
それで「詐欺だ」「金返せ」と言われた。

全額を返す義務はなかったけれども、
クライアントと話し合いをするうちに
気持ちがどんどん削られてしまい、
何よりも変な貸し借りみたいなことが残って、
この人がこの先の自分の人生の道のりに残り香みたいになるのが
恐ろしく虫酸が走るという気持ちがしたので
一刻も早く目の前から消えて欲しくて
「全額返金します」
そう言って、全額返金することにした。

すでに他の事業に回していた金額もいくらかあったので、
キャッシュがショートした。
つまり金欠。

そこから必死でお金をかき集める日々が始まった。


知人、友人、恩人、果ては恋人。

あらゆる手を使って金をかき集めた。


恥ずかしかった。
苦しかった。
逃げたかった。


死のうとは思わなかった。



それでも、死なないのだ。

この国は。

最悪、
キャッシュカードを使って金を引き出せばいい。
消費者金融で金を借りればいい。
自己破産すればいい。

けど、死なない。


溺れる水の中で見つけた一本の縄のように、
それはたしかなものだった。

そして何よりも、
最悪の状況になったとしても、
たったひとりでもじぶんに手を少しでも差し伸べてくれる人がいる。
それはほんの気まぐれに差し出す手かもしれないけど、
どんなかたちであれ、溺れゆく人間に手を差し伸べてくれる世界が
そこにある。



思い切って体を投げ出しても大丈夫だ。

死なない。

大丈夫だ。


今日おそろしく恥だと思っていることを実行しても、
今日おそろしく後ろ指さされると思うことを実行しても、
今日おそろしく生きる道を失うようなことになっても、

「ぜったいに生きてやる」
と目をひん剥かせるくらいの意思を持ち

「だれか!たすけてください!力をかしてください!」
と手を上げて大きな声で叫ぶ勇気を持つ。


そうすると、世の中は案外じぶんを殺さない。

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「あ、だいじょうぶ、死ななそうだ」

このボーダーラインは行動する上でとても大事な決断ラインだと思う。


思えば、ぼくはあの借金のときから
「だって死なないんだよ?」
が口癖になった気がした。


同期の人らが何か失敗を恐れていたりしても
「だってダメでも死なないんだよ?」
と最後には言って背中を押してしまう。


正直、彼らからすると何言ってんだこいつ、
と思っているのだろうけど、
最終的にぼくが行動する根拠はそこで。


死なない限り、人生は続いていく。


人生を、かっぽしよう。