人生かっぽ

人生かっぽ —佐藤大地ブログ

哲学、言葉、人生観、仕事、恋愛、など人生をかっぽするような物語をつむぎます。宮城県 仙台市を主な活動拠点とする佐藤大地のブログです。2014年からEvernote公式アンバサダー。大学院では政治学を研究していました。

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人の気持ちを読みたい僕が取り入れたあるゲームが、僕の仕事観を変えた

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この人、どうしてこんなに人の気持ちや行動が読めるのだろう。
と思わされる人に会うことがある。

あたかもマジシャンのように、自分の心地の良いことを予想して
先回りして準備したり、自分よりも1テンポ早くスッと手が伸びる。

そんなことができる人を尊敬していたし、うらやましいと思っていて。

先日、ちょうど後輩と
「どうやったら他人の気持ちを読み取ったような
 行動ができるんでしょうか」
という話をした。

生まれ持っての才能みたいなやつでしょうか。
ということを言ったので、
「違うと思う」
という言葉がぼくの口から出た。

「違うと思う。
 そういうことできる人って
 知らず知らずそういう練習をしているんだと思う」


ぼくがそう思うようになったきっかけがある。
それは「あるゲーム」でして。

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学生中、バイトをしていたとき
上司がぼくにお金を渡してきて、こんなことを言った。


「佐藤くん、息抜きにゲームしよう。
 おれと佐藤くんと、田中くん(別の上司)の
 3本分のコーヒー買ってきて。
 で、その3本が全部自分が買うときに
 予想していた人が選んだら、佐藤くんの勝ちね」

つまり、
3本のコーヒーと
3人の選択を全部予想せよ。
というゲームだった。


この上司はたまにこういう突飛なことをやり始めて遊ぶ。
今回もまたしてもそういうことだった。

ぼくは自販機まで行ってあれこれと3本缶コーヒーを買うと
メモ帳を取り出して、どのコーヒーを誰が選ぶか予想したものを書いた。

そうは言っても、わからない。

ぜんっぜんわからない。

だから、とりあえずこんな感じで選ぶ。

田中さんにはパッケージが赤っぽい微糖のコーヒーを選んだ。

なぜかって、田中さんは赤が好きだからだ。
赤がテーマカラーっぽい。

ゲームをしかけてきた上司には無糖のコーヒーを選んだ。

なぜかって渋い顔をしているからだ。
それ以外には理由はない。

ぼくの分はいつも飲んでいるパッケージが金の微糖のコーヒーを選ぶ。



さあ、勝負だ。


いそいそと上司の前に缶を3本出すと、
上司がひとつ選ぶ。

上司が手に取ったのは、
予想していた無糖のコーヒーではなく
ぼく用に買ってきた微糖のコーヒーだった。

それから、田中さんは
上司用に用意していたはずの無糖のコーヒーを選んだ。

ぼくにのみ、自分用に用意した金の微糖コーヒーがやってきた。

「佐藤くん、結果は?」
上司にメモを見せると、上司が笑った。
「自分しか当たってねえじゃねえか(笑)」


「佐藤くん、最初におれに選ばせたのがダメだったな」
上司はにんまりしてこう言うと、続けてこう続ける。


おれだったら最初に田中くんに選ばせた。
そうすると、気をつかう田中くんのことだから
微糖2種類と無糖1種類あったら、微糖のうちから1本選ぶ。
なぜかっていうと、無糖1本選ぶと上司に選択肢がなくなるから。
そんな失礼なことをしない。田中くんは。
で、おれは微糖のコーヒーしか飲まないんだ。知ってた?
ほら、デスクに微糖の缶コーヒーあっただろ?ヒント満載じゃん。


その上司の言葉に、なんとなくのイメージでコーヒーを買っていた自分の勝率が
おそろしく低かったことに気づいた。

「勝ち方はもっとあるんだよ、佐藤くん。
 例えば、微糖2種類のうち、
 相手に自分が選んでほしいほうを手に取ってもらいたかったら
 そちらをおれなら田中くんの左手側に置く。
 理由は田中くんが左利きだからな?取りやすいんだよ。
 あるいは、微糖の缶を並べたときに少しだけ相手の近くに置く。
 そうすると、人間取りやすいほうを取るからね」

上司の口からスイスイと語られる戦略に、新しい世界が見えた気がした。

そこまで言い終えると、上司はそのゲームを通して言いたかっただろうことを言ってきた。

「佐藤くん、仕事も同じ。
 相手のことをよく見る。
 相手の心理をよく観察する。
 相手が欲しいこと、して欲しいことを
 相手は言わない。
 だから、こちらが示して、提案する。

 そしてこれは、
 相手の行動を予想して答え合わせを繰り返せば
 いくらでも上手になるからね?
 人の気持ちは読めるんだよ?」


以前からこの上司の仕事の気遣いに感心していたけど
こういうことだったのか、とぼくは思ったのです。


この「缶コーヒーゲーム」を通して
ぼくは「人の気持ちはよく観察すれば読める」と考えるようになりました。

一挙手一投足、ひとつひとつが気持ちを表すヒントだと。

いま考えると、上司が説いていたのは
「行動科学」
という分野の触りでもあったわけで、
この一件からですね、ぼくがこういう本を読み始めたのは。

影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか

影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか


そして、後輩がいるとたまに当時の上司の気持ちになって
このゲームをやるんですけど、意外とみんな最初っからパーフェクトに当ててくるので
先輩風を吹かせるチャンスがありません。



人生をかっぽしよう