別れの手紙を書くときの僕のたった1つのルール
別れの季節がやってくると、
ぼくはお別れの相手に手紙を書くことにしている。
職場での異動があるときもそれは変えずに
ひとりひとりに、手書きで手紙を書く。
先日も、お手紙を書くことがあった。
ぼくが手紙を書く上で気をつけていることがある。
それは、
「ありがとうございました」で始め
「ありがとうございました」で終えること。
そして、「ありがとうございました」の理由を書くこと
年上の人にはもちろんみんな気をつけていることだと思うけれども
年下の人に手紙を書くと、多くの人がどうしても
「小言」
を書いてしまう。
ぼくはそういう手紙をもらうと、
うれしい中にもどこに向けたらいいんだろうという
迷子な感情がやってくる。
「そうか。もう少し一緒にいるときに
具体的に教えてほしかったな。
そうしたらもう少し努力できたのにな」
なんていうふうに。
基本的に、去り際の人間がそこを去ることを言いことに
初めて思いの丈や言いづらかったことを伝えるのも卑怯だと思うのに
お説教やもっとこうしたほうがいいよという話をするのはもっと卑怯だと思っているのであります。
逆に嬉しかったのは
君はこういうところが素敵だよ
と書いてある手紙。
人間、心地のいい相手がいなくなると
さびしくてさびしくて
何度もなんどもその人がいる過去の時間を
さかのぼろうとするもので。
だけれども
かつてぼくがもらった手紙には、
手紙いっぱいに
あなたはここが素敵だ。
きっと大丈夫。
なんてことが書いてあって。
さびしいけど、そういう自分を信じて
過去にはさかのぼらず
前を向いて進もう
と思えた。
だから、ぼくは手紙には
「あなたのここが素敵です」
「あなたのここにぼくは支えられました」
「ありがとう」
という3ポイントしか書かないようにしている。
あと、もうひとつきっかけがあって
なんどもこの『人生かっぽ』でも紹介してきた本
『えいやっ!と飛び出すあの一瞬を愛してる』の中で
小山田さんがこんなことを書いているのを読んだからだ。
年上の人間が年下の人間に、ただ「知らない」という理由だけで自分がちょっと垣間見た世の中の複雑さやつらさを見せようとするのは罪だと思う。「誰もが通る道」という言葉は正しいようで正しくない。それぞれが、それぞれの道をそれぞれの悩み方で悩みながら歩くしかない。その解決法も人それぞれだから、アドバイスなんかしようがない。できるのはただ、道の途中で息を切らしぎみの人に、その時は楽しく歩いている人が給水所のありかとか景色のいい場所をちょっと教えてあげることくらいか。
- 作者: 小山田咲子
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ぼくみたいな人間が偉そうに何を言えたものかという気持ちが
この一節を読んだ時から芽生えたのであり、
年下の者よりも年上の自分が世の中の真理を得ているだろう、
がんばりたまえよ君たち
みたいなことは言わないようにしているんです。
手紙、書いてみるといいですよ。
書きませんか?
何かをきっかけに。
会社の同僚だったら書類を渡す時でもいい。
便箋に封筒だとかしこまりすぎるから
日常的なシーンならふせんでもいい。
何かしらのありがとうを伝えると、
もらった人はもう一度そのありがとうをつくり出したくなるはずですから。
人生を、かっぽしよう
文中で紹介した小山田さんの本についてはこちらの記事▼
恋をした。彼女の話をしてしまう - 人生かっぽ —佐藤大地ブログ