人生かっぽ

人生かっぽ —佐藤大地ブログ

哲学、言葉、人生観、仕事、恋愛、など人生をかっぽするような物語をつむぎます。宮城県 仙台市を主な活動拠点とする佐藤大地のブログです。2014年からEvernote公式アンバサダー。大学院では政治学を研究していました。

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仙台には2種類の人間がいる。光のページェントを「楽しめる人間」と「楽しめない人間」である。

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仙台には2種類の人間がいる。
光のページェント楽しめる人間楽しめない人間である。

ぼくは後者だった。
楽しめぬ。仙台を拠点にし始めて今年で9年目だが、楽しめぬ人間だった。


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光のページェントが何たるかを知らない人について簡単に説明しておこう。

光のページェント(愛称:ヒカペ)とは、
毎年冬(今年は東西線開通の影響もあり12/6〜12/31)、
仙台市中心部にある定禅寺通りの木々に電飾をほどこし、
通り一帯を光の道というイルミネーションにする催しである。

しかしながら、そこを歩いていると気づくのは、
まぶし過ぎる姿がイルミネーションにとどまらず、
そこを歩くカップルの姿のせいでもあると気付き、
孤独に苦しむものはさらにダメージを受けるという負の側面も持っている。

そのせいか、
「光のページェントカップルで歩くと別れる」なんていう噂まで流れる始末である。
が、たぶんこれはそういう苦しみにあえぐ者たちの最後の抵抗である。

あまりに目を背けたい現実であるがために、
「ひかりのページェント」ならぬ
「ひとりのページェント」という不可解な行動に走る古着屋さんも仙台では有名である。

http://highcolor.noor.jp/2015/12/13/%E3%81%B2%E3%81%A8%E3%82%8A%E3%81%AE%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%88/highcolor.noor.jp


まあ、こんな感じの光のページェントではあるけれども
「どうして楽しめないのか」と聞かれてもよく分からなかった。

リア充ではなかったからか?
いや、べつにそのタイミングで恋人がいなかったわけでもない。
やせ我慢ではない。本当だ。信じてくれ。


けど今年は、カメラにハマっていることもあって、
仕事が終わってから写真を撮るために光のページェントに何となく行ってみた。
まあ、ちょっと行くだけだし。つまらないなら帰ればいいしね。


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光でできた歩道を歩くのももちろんいいけれども、
ヒカペでまたいい感じなのは、これ。

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辺りにあるガラス張りのビルにも、車にも、金箔がかかったようにイルミネーションが映り込む姿。


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通称「映しヒカペ」である。ごめんである。ぼくが勝手にそう呼んだだけである。

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みんな思い思いに写真を撮っている。
ヒカペをバックに写真を撮っている小さい子のお母さんとか見ると、「ああ、こうやって毎年ヒカペの写真が重なってくんだなあ」とか思ったりとか、
たまたまベンチに座ってるところでプロポーズっぽいことしてる現場に遭遇しちゃったりとか、
ずいぶん構図とか決めて撮ってる男女二人組だなあって思ったら後でインスタでその構図の写真上がってて吹いたりとか。
まあ、みんな、思い思いの楽しみ方してる。


で、そうやって歩きながら、だんだん、
どうしてじぶんが、ずうっと光のページェント楽しめない組だったのかってことが、
何となくだけど、わかってくる感じがする。


この時点ではまだ、なんとなく、だったけど。



で、写真も満足いくぐらい撮り回ったあたりで、
ちょいと寒いのもあったし、どっか入ろっかなと思うと、
ちょうどいいところに可愛らしい良さげなお店が目にはいる。

_DSC0699


カフェ『トコトこ』

カフェ トコトこ

食べログ カフェ トコトこ


2階だし、ちょっと入りづらい気もするけど、こういうときはもう変に人見知りにならずに入っていける。


当たりだった。


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決して広くはない。10人入るか入らないかのスペースだったけど、店内が「どうも〜」って言ってくる感じ。
よくある「一見さんお断り」系のカフェではなく。

迎えてくれたスタッフさんも優しい感じ。


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メニューを見てやたらショウガにこだわっていたり、面白い名前のメニューがあったから、
注文するときにちょこっとお話をする。
有機栽培のショウガなんですよ」
「これは気仙沼の塩辛を使っていて」
なんていうふうに。

写真撮っても?と聞くと、どうぞどうぞ、配置も好きなように変えていいんでって言われて、
いやそれどうなんですかお店的に、と思うほど親しみやすさがすごい。


あったまりたかったから「しょうが紅茶」を頼む。

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ポットにたっぷり注がれてくるのも嬉しい。
「ごゆっくりどうぞ」って言葉が本当にそう思ってるんだろうなって感じで聞こえてくる。


店内の窓からは、光のページェントが見えて、光が入ってくる。


隣に先に入っていた女性客2人の楽しそうな話し声と、『The Rose』の曲をBGMにして

しょうが紅茶のお茶碗のようなカップを両手で包んで、光を入れながら飲んでみる。オツである。


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本も持っている。iPadMacBookも持っている。
けど、何も触らないで、ひらすらにぼけーっとしながら、ショウガのいい香りがする紅茶を飲む。


そこで、ああ、なるほどなあと、やっと言葉にならなかったことが浮いてくる。


ひとりが好きになってきたんだ。


前から1人が好きだったんだけども、意味が違って。

前は「1人で何か意味あることをするために、1人でいたかった」「邪魔しないで」って。

けど、いまは
「1人で何もしないけど、1人でいることが楽しい」


ずっと、一人で取り残されるのがイヤだった。
だから、みんなが盛り上がったり参加するイベントがキライだった。
簡単に言えば、チヤホヤされたかった。
じぶんを見てもらえない場所が、不快だった。なんて野郎だ。

例えば、以前書いたFacebookのトリコロールみたいなことも、
もっと前だったらわざと冷めた目で見ていた。
たぶん、そこの中心にじぶんがいないからだ。



いまは「遠巻きの心地よさ」を感じられるようになった。


まわりに人が囲っていて、ぼくだけ一人でも、いやむしろそういう状態だから楽しいってことがある。

なんちゅーか、そういうのを見ていたいし、そういうのに囲まれてたいってのがある。
たとえ、ぼくが中心じゃなくても。


紹介した『いつかティファニーで朝食を』を読んだことも、たぶん強く影響受けてるかもしれない。





***


今度はカレー食べにきますね、と言って店を出る。


仙台に入り込んで9年目のヒカペ。
光の道の真ん中を歩きたいぼくは、わきっちょでも楽しめるようになった。と、うまいこと言って筆を置く。



人生を、かっぽしよう
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