人生かっぽ

人生かっぽ —佐藤大地ブログ

哲学、言葉、人生観、仕事、恋愛、など人生をかっぽするような物語をつむぎます。宮城県 仙台市を主な活動拠点とする佐藤大地のブログです。2014年からEvernote公式アンバサダー。大学院では政治学を研究していました。

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「食っていく」ということが、農業に挑戦してちょっと分かった気がした

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田んぼに入る。
秋のちょっとだけひんやりした風が作業でほてった体には涼しい。
雨の影響ですこしぬかるんだ田んぼを踏む。
日差しがどこまで明るくて、空が青く、青い。


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農業を営んできました。

じぶんが働くということについて、そして生活するということについて、深く考えさせられた日になりました。





一日だけだったけど、農業の収穫作業に参加してきました。

きっかけは以前のこの投稿がきっかけです。

copy.hatenablog.com


ぼく自身、田んぼってのがずっとそばにある存在で、大きくなるほどにその身近にあった大切さを感じるようになってきていました。


ただ、あの日、台風で宮城も大きな被害を受けて。
Facebookなどを通じて、田んぼが大きな被害を受けた、と知ることになりました。

いつもそばで見ていたのに、ぼくはあんまり田んぼって触れてこなかったよな。
そう思ったのです。

そうして、
田んぼのために何かできないかな
と思うようになりました。

けれど、どちらかと言うと、
弱者を助けるという考えより、
じぶんが関わってみたいから田んぼに入ったという考えのほうが
強かったです。

たぶん、弱者を助けるとか考えていたら、直前になってどうでもよくなっていたと思います。
ぼくそれほど善人ではないので。


とにかく関わるチャンスがあるなら、関わりたいという気持ちでした。


お世話になったのは、宮城にある、六根舎さんです。


無農薬、天日干しにこだわる米。

関西生まれ、現在は宮城に住む田原さんが営んでいます。

今回は、田んぼの復旧作業というよりも、本来の行程である収穫作業に参加させていただきました。




作業行程


まずは、田んぼの稲を刈った状態からスタート。


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ちなみに、この矢印の部分が今回氾濫した川。

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いつもはこんなにおだやか。

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さて、刈った稲を一定量ごとに、ヒモでしばります。


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これは、あとで天日干しやすくするためでもあります。


それを集めて田んぼから別の干す場所に移す作業をして

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干していきます。


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これをだいたい、朝8:30ころから始めて、17:30ころまで行いました。


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五感を使うということが分かった

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田んぼに入る。
秋のちょっとだけひんやりした風が作業でほてった体には涼しい。
雨の影響ですこしぬかるんだ田んぼを踏む。
日差しがどこまで明るくて、空が青く、青い。


田んぼに入ってみて、田んぼに関わってみて、いちばん考えたこと。

それは、五感を使いながら働くことの楽しさであり、すばらしさ。


ぼくは農業のしんどさの何たるかなんて
これっぽっちもまだ分かっちゃいないのでしょうが。

それでも、仕事のほとんどを都市部で行ってきて
事務職や書きものをして仕事をしてきたじぶんには、
空のもとで仕事をすることが新鮮に感じられました。


そういえば、思い出すと
ぼくは閉じきった場所で仕事や勉強をするのがたえられませんでした。
受験時代も勉強するときは外の世界が見えなかったり、音のしないところがあまり好きではなくて。
どこかで、そういう五感を忘れたじぶんに、身体が悲鳴をあげていたのかなぁなんて、都合よく解釈してみたり。



自然のなかで働くことなかには、五感がある。



営むことは、関わり、食っていくこと


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作業中。カエルがぴょんぴょんと飛び跳ねる。
ちょっと追いかけてつかまえる。

カエルを触ったのはいつぶりだろうかなんて考える。
いつからか、カエルがものすごく苦手になって、見るのも嫌になっていたのに。

バッタもいる。
ヤモリもいる。
ミミズもいる。
彼らは作業中に、稲の中からひょっこり顔をだす。
それを静かにつかまえて、別の場所にうつす。


ぼくの生活には、カエルもバッタもヤモリもミミズも直接には関わりがなくて。
言ってみれば邪魔なもので。

それが田んぼだと、一緒に生きてんだろうなあと思って。
愛着が湧いて。


同僚以外のやつらがそこで一緒に生活しながら働いているという、心強さ。



まだまだ浅いながらも、農業という仕事を体験させてもらって、
浮かんだことばは
「営む」
というものでした。

仕事をするでもなく、
生活するでもなく、
その間にあるような「営む」ということば。

「生活を営む」というふうにも使うし
「経営」なんていう仕事的な言葉としても使うことば。

営むというのは、
「その土地を感じ取り、関わり、関わることで、食って、生きる」
そういうことだと気づきました。



産業というのは、だんだんと「高度化」していきます。

高度化するとは、土地から離れて、やりとりされる情報こそが大事になっていくこと。

農業は米をつくり、その米は卸売りが買い取り、その米を小売が店ごとに売り、食べる人に届ける。
仕事が高度化することで、商売からその土地がもたらすものが薄れて、気にされなくなっていく。

レストラン業や取引業などのサービス業のように、
コミュニケーションこそが大事な仕事になって、
その仕事では、やりとりされる情報こそが大事なことになっていく。

その仕事はコミュニケーションができればいいので、場所はどこでもいい。
できれば人がたくさん集まればいい。
そこにあまり土とか水とか風とか空とかは、関係ない。

そうやって
「その土地に関わり、食って生きる」という「営み」の中から「仕事」は切り離されてきて
場所も「家」と「オフィス」でちがう場所になってきて。
「営み」が、なくなってきたのだと思います。ぼくらの生活に。


「いつでもどこでも」仕事ができることは便利だけど、「その場所で食って生きる」という営みがなくなっていく。


いまここにいる意味はなんだろう?
と営むことを考える大切さを、農業は思い出させてくれました。



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ぼくは農業を1日営んできました。



田んぼがさらに好きになった1日でした。
今日は食べるものに豊かさをたくさん感じているじぶんがいましたとさ。



人生を、かっぽしよう

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