人生かっぽ

人生かっぽ —佐藤大地ブログ

哲学、言葉、人生観、仕事、恋愛、など人生をかっぽするような物語をつむぎます。宮城県 仙台市を主な活動拠点とする佐藤大地のブログです。2014年からEvernote公式アンバサダー。大学院では政治学を研究していました。

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スカウトで入ったバイトがクソすぎた。けど“掲示物”の仕事をしたら……

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「佐藤くんには他ではできない大きな仕事を任せようと思う」
「だから、うちで一緒にやってみない?」



たしかそう言ったはずだよな。
全くもってクソな仕事だよ。


Oil Abstract [247/366]
Oil Abstract [247/366] / timsackton

ぼくが
「アルバイトをスカウトで入れてもらった」
と言うと
多くの人が驚きます。
バイトってスカウトで入るようなものではないから。


きっかけは二浪して色んな予備校の体制について
自分の意見をふとしたきっかけで話したから。
そのときにその後上司になる課長もいたのです。


“大きな仕事”
仕事なんてものをやったことのない自分からしたら
それはとても大きな“ニンジン”でした。


しかし、待てども待てども大きな仕事なんて
いっこうに来ない。
食堂の油のにおいがぷんぷん入ってくる倉庫で
来る日も来る日も
パンフレットの整理やら資料の整理やら。





クソみたいな仕事だ。


2週間するとそんな言葉が浮かぶ。


ダマされた。


3週間もするとそんな言葉が浮かんできた。


辞めてやる。


1ヶ月目についにそう思う。



そんなときのこと。
上司がニコニコした顔をしてぼくの近くに寄ってきた。
「佐藤くん、イベントの掲示物を作ってみようか」


「はあ……」
まったくもって楽しそうな仕事とは思えない。


今回はこういうイベントで場所はこの部屋で云々……
上司が掲示物について説明する。
ぼくは聞くフリをするが上の空。


大きな仕事、いつ来るんだよ。


任された掲示物は言われた情報をとりあえず並べて
なんとなく体裁の良い感じにして
プリントアウトした。
久しぶりに打つキーボードが心なく響く。


ちゃっちゃと終わらせて課長に提出しに行った。
「こんな感じでどうでしょうか」


そんなに見る必要あるか? たかが掲示だろ?
そう思う程に上司は紙をじーっと見回し
それからデスクに置いて腕組みをしながら
たまに、ふーん、とか言いながら
見続ける。


それからにこっと笑ってぼくのほうを見て
「ちょっと行こうか」


Caixa Forum StairsCaixa Forum Stairs / felipe_gabaldon


行ったのはイベントのために掲示物をはる場所。


「そこにちょっと貼ってみな」
相変わらず笑いながら上司はぼくに言う。


「どうだ?」
ぼくが貼るのを確認するとそう言った。


「どうって言われましても……」


上司はそれが何だか嬉しそうにも見えた。


「佐藤くん、これ、今回イベント来る人初めての人?」
「はい、そうですよね、確か」
「じゃあ、ここまでスムーズに来れると思う?」
「いや、ぼくも最初は迷ったんで」
うんうん、と上司は確認するようにうなずく。


「どうだ、あの掲示、そういう人に目立つか?」


「あ」


「あの文字の大きさで、大丈夫?」
「あの紙の大きさで、大丈夫?」
「フォントは目立つかな?」
上司は風穴が空いたようなぼくの耳に言葉をどんどん放り投げてくる。


そうだった。
言われたことを淡々とやっていただけだった。
誰も意識しない作業をしていただけだった。


大きな仕事。


「佐藤くん。なめてたろ」
上司は笑っていたけど強く強く、響いた言葉だった。


なめてた。
クソだったのは、ぼくだった。
クソだったのは、ぼくの見方だった。


自分の仕事で生み出す掲示物を見る人のことを
これっぽっちも考えていなかったのです。
事実それまで、掲示物を見ても分からなくて
結局受付に聞きにきてしまう人がたくさんいました。
それを防ぐのがぼくの仕事でした。


大きな仕事。



「見てくれる人のことをきちんと思って、
 この紙の上に佐藤くんが考えていることを
 全て表現してみよう」


それからは、何回も何回も構成を考えました。
何通りも考えてプリントアウトして
見比べる。貼ってみる。
納得いかないなら作り直す。


とうに勤務時間は過ぎて
お願いして働かせてもらうほどでした。


Cheese 331/365
Cheese 331/365 / anneh632


その日を通じて
ぼくの仕事に対する見方は少し変わりました。
まちを歩いていても掲示物に見える程です。病です。


後に後輩がたくさん入って来ることになったのですが
そのときも必ず掲示物はひとつの関門にしました。
何よりもぼくが初心を見直したかったのかもしれませんが。


まあそのこだわりが
あのときの悲劇を生むわけですけど(笑)




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