それ「実績」じゃなくて「自慢」だろ。テング大学生がぶち当たった実績の壁
「アピール」を、したつもりでいました。
「これだけの文章を書くことができます」
「マーケティングのノウハウがあります」
「こういうイベントをやってきました」
そういうことを書いた資料をつくって、
ある社長のところに行って、
一通りプレゼンをしていました。
仕事のチャンスをつかもうとしていました。
大学生としてはそこそこ社会人に負けない経験をつんできた自信があったので、それをアピールして売り込んでいたわけです。
聞き終わると、その社長が
「ふーーーーーん」
ため息とも、感心したとも分からないような、音を出す。
それから
「うーんとね、アピール、してほしいんだな」
と。
PhoTones Works #2120 / TAKUMA KIMURA
「アピール……?」
いや、今まさに話し終わり、今あなたが手にしているのがぼくのアピールじゃないすか、という反応をしていると
あ、伝わんなかったかな、とその社長は言って、
「んー。実績?話してくれる?」
それでもよくわからない。
そこまで話が伝わらないので、その社長はついに、言いにくそうに言う。
「あのね、佐藤くん、あなたが言うのはね、
アピールとか、売り込みっていうよりも……『自慢』なんですよ」
その方は人が良い方だったので、
それはそれらほんとうに言いにくそうで。
「いや、こっちもできる限り佐藤くんのね、話を聞いてお仕事したいんだけども。
やっぱり、仕事なわけなんです。ビジネス。
ってことは、利益とか損失とか関係するわけです。
だとすると、佐藤くんと一緒に仕事するだけの価値というか、だから実績を聞きたいんですね」
なるほど、とそこは冷や汗と何か大きな壁にぶち当たったような感覚を感じて、
けっきょく何もチャンスを手に入れることなく帰ることに。
「やっぱり、大学生だからダメなのかな」なんて言いわけをしながら。トボトボと。
じぶんの「勲章」だと思っていたことを話したら「自慢」だと言われ
じぶんが空っぽのように感じてもいました。
「それは『数』ってことだよ」
と電話で言ってくれたのは、何か挑戦するとき頼りにしている先輩で。
考えても、社長の言うことがいまいちじぶんの頭の中でかみくだくことができずに
相談したときにそう言われる。
「数、って?」
「あのね、大地くんの話すことは全部「やってきました」ってことしかないわけ。
ビジネスは当たり外れなわけでさ。
それは大学生のきみと一緒にやろうがなんだろうが同じ。
今までどんなことをどれくらい達成してきたから、次もこれくらい成功しますよって話をしたかったんだと思うよ、その社長さんは。
それが無いで自分のこと無駄に高く見積もることを自慢って言いたかったんじゃないか?」
「え、じゃあそれって例えばどんなふうに言えばいいんですか?」
「これだけの文章書けるって言うんならさ、
例えば500RTあったとかさ、
10万アクセスあったとかさ、
それは他の記事と比較してどれくらいスゴイかとかね、
そういうこと」
そう、やってきました、どこどこにいました、なんてのは、言ってしまえば「やっただけ」
そこを「実績」という「数」で語る。
行動ではなくて結果で語る。そしてそれは数という結果で語る。
そうすると、相手も勝率を計算しやすい。
大学生なんて関係なかったのです。つまりは。
実績を持ってして、アピールすればいい。
自分を数で語る。
何年続けました。
何回達成しました。
どれくらい来客しました。
何分で作りました。
それが実績で、実績を使ってアピールする。
全てを数で考え、カウントし、やったことよりもやった結果を数で測りまくったのはそれからのこと。
話を聞く相手の口元が変わっていました。
への字口だったものが、「ほう」という口へ。
「ここにこれくらいの数が書いてあるんだけどさ
これはどれくらいで達成したの?」
というような質問も増えました。
今まで質問なんてなかったのに。
大学生でも、少しずつ話を聞いてもらえるように。そして仕事をもらえるように。
***
自慢たっぷりで変にスゴんでいただけの大学生だったぼくの鼻っ柱を折ってくれた、
あの社長さんにはいまも感謝しています。
「自慢じゃなくて、実績を」
人生を、かっぽしよう
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