人生かっぽ

人生かっぽ —佐藤大地ブログ

哲学、言葉、人生観、仕事、恋愛、など人生をかっぽするような物語をつむぎます。宮城県 仙台市を主な活動拠点とする佐藤大地のブログです。2014年からEvernote公式アンバサダー。大学院では政治学を研究していました。

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求めてたのは、アドバイスなんかじゃないよ

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「そんなこと分かってるよ!なんでそんなこと言われなきゃいけないの!」
肩をつかんだ彼の手を、彼女が振りほどきながら、投げ捨てるように、言う。


「もういいよ」
それが、彼が、彼氏として聞いた最後の彼女の言葉。


鈍く、扉が閉まる。

ドアノブ
ドアノブ / yamamotokyms

仕事の話。
同僚とのやりとりの中で、彼女はケンカした。


「分かるんだけどさ、相手も仕事を考えて言ってるわけじゃん。そこは考えてもいいじゃない」

彼がそう言っても彼女はなかなか返事もしないし、顔も上げない。

と、思ったらスクッと彼女は立ち上がって
そのまま顔を彼に見せることなく、部屋の扉へとむかった、あの日。


彼女がなぜドアの向こうに飛び出して行ってしまったのか、考えても分からなかった。


あの日は、ずっと残っていた。閉まったドアと一緒に。

カシスオレンジ。
カシスオレンジ。 / tetsukun0105


「だいたいさあ、何なの?
 自分たちは話聴いて聴いてーって言って
 なーんで自分たちは聴かないかな!」



彼女のグチをこぼしたのを聞いて、
彼の友人が、なぜか彼の代わりにぶちぶち文句を言った。


あのドアが閉まった日からしばらくたって、彼には新しい恋人がいた。


最近は
彼の仕事がなかなかうまくいかず、彼女にちょこちょこ話をするけれども、
彼女が自分の意見ばかり言ってくるのがグチの原因だった。
「こうしたら?」
「うん、でもさ」
「分かるんだけど」
理解して言ってくれてるんだとは分かるんだけれど、やっぱり気持のいいものではなかった。


半分酔っぱらった友人が言う。


「男だってさ、さびしいんだって。
 正しいとか、間違ってるとか、
 そういうこと言って欲しいんじゃなくて
 『よく頑張った、よしよし』とかたまにはされたいじゃん。
 お前くらい味方になれよって思うわけだよな」


その言葉にそう、それだよ、と彼は言ってから
しばらく、
焦点がどこに合っているのかも分からず考えていた。


あの日。


あの日も、あいつ、そうだったのかな。


「そんなこと分かってるよ!なんでそんなこと言われなきゃいけないの!」


そうなんだよ。
そんなの分かってるんだよ。俺だって分かってんだよ。


聞いて欲しかっただけなんだよ。


ただ、一言
よく頑張った。
そう言って欲しかったんだよ。


たとえ、それが間違っていたとしても。
一番の味方が欲しかった。
まずは味方が欲しかった。



一生懸命なときは、必死なときは
誰だって間違ってないって思いたくて。
そして
誰だって一番、孤独で。

不安で不安で、真っ暗い中で何かつかみたくて。


俺はそれを、分かってやれなかったんだ。


Keys
Keys / Moyan_Brenn


もう遅い。
もう遅いけど、ごめん
と彼は心の中で言う。




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