本屋と話そう
色んな本屋へ行くのが趣味です。
ふらーっと寄るのが好きなのです。
それは、本屋とお話しするためです。
店員さんではなく、本屋そのものと話すのです。
ネットで書籍を買うことも多いのですが
リアルな本屋に立ち寄ることはやめられない楽しさがあります。
大型書店に足を運ぶのも好きですが
ある程度の狭さの本屋に行くのも好きです。
本屋ごとにどういう棚の構成にするのか。
どの本を一番目立つところに置いているのか。
そういう表現の仕方は、本屋の価値観を示していて
まるで本屋と言う人間と対話しているような気持ちになります。
店の入口を通ると
目の前にその本屋の価値観や哲学が広がります。
それから「一緒に話そうよ」と語りかけてきます。
本屋に入ると、何かを探すわけでもなく
手を後ろに組んでふらーふらーっとゆっくり歩く。
それで、たまに気になった本に手を伸ばしてみる。
導かれるようにして手にした本はなぜだか異様に面白く感じるものです。
なぜだろうな、とずっと考えていたのですが、分かりました。
きっと、それがいま自分の頭の中にあるいちばん大切な言葉だからなのでしょう。
本屋という他人、そしてその中にある本という他人のことばなのに
それを通して分かるのは、何よりもじぶんのことなんですね。
それはとても対話に近いものだと思います。
この本屋との対話は
ネット上の本屋が普及した今でも、
リアルな本屋だからこそできることだと思います。