彼女は昔の恋にすがりたいだけだった。結局
四年の恋愛というのは大きい。
ああ、と彼女は思う。
ノートの間に挟まっていた映画の半券がふと落ちてきたから。
一体にして、どっからどこまでが自分のものか相手がくれたものか分からない。
別れてしばらく経つのに、気を抜くと昔の彼氏の面影がひょっこり顔を出して困らせてくる。
拾い上げた半券を、しばらくどうにもできず、何となくまた戻す。
捨てなかったのは、彼に気兼ねしたわけじゃない。もはや自分の思い出でもあったから。
四年というのは、でかいんだよ。
続きを読む自分をふった男に復讐して彼女が気づいたこと
「絶対に忘れられないようにしてやる」
と彼女は思った。
「ごめん、他に好きな子ができたんだ」
と彼は平然と言ってのけたから。
その子どんな子?
わたしのほうが考えてるよ?
もう一回考えなおさない?
泣きすがることもできた。
けど、彼女はそうはしなかった。
それはみっともないと思ったから。
「そっかしょうがいないね」
奥歯をなくなるほどぎりぎり噛み締めたい気持ちだった。
忘れられないようにしてやる。
それで「やっぱりお前が一番だよ」って気づかせてやる。
誰が好きなの?決められないなら、髪を切りに行くのはひとつかもしれない
「どちらにしようかな」
なんて言うポップさで恋がうまくいくなら、こんなにも人は悩まない。
「どっちも大事なんだ」
だから彼女も悩んでいた。
Baklava, Pomegranite Ice-Cream, Mastic-flavoured Custard - degustation - Ottoman Cuisine / avlxyz