本当に? 彼女に対して「やりたいことがあるから」時間取ってあげられないの?
「二人で食べようね」って言ってたシュークリーム2つだけが、彼女がいなくなった部屋の冷蔵庫に残っていた。
という話を聞いて、小説みたいだなと思う。
けど現実のこと。だからこそ「切ない」を通り越して残酷。
「夢のせいにしてたから。全部。けど違うんだよなあ」
と彼は言う。
「夢を盾にしてただけだったんだよなあ。都合の良い」
cream puff / モンテール 牛乳と卵のカスタード&ホイップシュー / [puamelia]
ちょっと遅れるね。
が、2時間ほど遅れてしまう。
インターンをしていたきっかけで、素敵な先輩との飲み会があったから。
自分の進むべき道には、必要なこと。
そしてそれを彼女はいつも応援してくれている。
「遅れるときは連絡してよ」
そう怒られるときもあったけれど、いつも決まって許してくれた。
だから、今日も連絡のために席を外して空気を変えたくないと思ったので、連絡せずにいた。
すっかり遅くなって彼女が待つはずの自分の部屋に着いたとき、部屋はすでに暗い。
寝ているのかなと思いそっとベッドを確認するけどいない。
電気をつける。
いるはずの彼女がいないことに気づく。
そうして、気づく。
「限界だから別れたい」
という置手紙がある。
連絡しても返ってくることはない。
次の日になって冷蔵庫を開けたときに気づく。
一緒にシュークリーム買ってきて食べようねと言っていたことを。
その状況になって初めて彼女の悲しさが伝わってきて、後悔する。
「きっと、かなり、寂しい思いさせただろうな」
けど、あの日自分は外せない大事な時間だった。
そことの、葛藤が、あった。
その罪悪感を、彼はしばらく忘れられずにいた。
地元に戻った時に、姉にそのときの愚痴を話すと、姉に優しくなだめられた。
「それ、ただ『夢が』って言葉使って考えること放棄してるだけじゃない?
彼女つくらないほうがいいかもよ? そういう感じなら」
けどさ、と彼が言い返すと
「本当にちょっとも時間取ってあげられない?ちょっとも、だよ?
なんかどっかで言い訳してたりは、してない? 夢だからって」
姉の言葉に、彼は深く考えさせられる。
彼女を苦しめたのは、夢のせいじゃなくて、彼自身のせい
「おれたぶん『夢持ってる自分に犠牲はつきもの』みたいなことをカッコイイと思ってただけなんだよな」
と彼は言いました。
「これくらいなら許してくれるだろう
って思って、それに甘えて、
だってやりたいことのためだし、とか言い訳して。
たぶん、考えること投げてた」
彼は夢が彼女を苦しめていたのだと思っていて、けど自分はその夢や、やりたいことを優先することは曲げられない、という葛藤をしていました。
だけど、そうじゃなかった、と。
夢が彼女を押しつぶしていたわけではなくて、夢を言いわけに、それはもはや夢じゃなくてもいいことなのですが、あることを言いわけに、自分をテキトーにする彼の態度が気に食わなかったんじゃないか。
そう反省するわけです。
「本当にちょっとも時間取ってあげられない?ちょっとも、だよ?」
お姉さんの言葉は的確で、なんでもかんでも夢のせいにするのは、考えることの放棄になってしまう。
そしてそもそも、どうして彼女と付き合ったかと言ったら
やりたいことを抱えながら、でも一緒にいたい人もあきらめられない。
だったら、その分何かを背負っている自分なんだということは意識しないといけない。
あれも、これも、手に入れたいなら。
あれも、これも、受け入れないといけない。
*
「いまこの瞬間に、あの人のために少しでも何ができんだろう?」
そう考えることからしか、始まらないような気がしました。
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