人生かっぽ

人生かっぽ —佐藤大地ブログ

哲学、言葉、人生観、仕事、恋愛、など人生をかっぽするような物語をつむぎます。宮城県 仙台市を主な活動拠点とする佐藤大地のブログです。2014年からEvernote公式アンバサダー。大学院では政治学を研究していました。

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だから仕事が終わらないんだ。僕に気づきを与えた1つの助言

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「終わらないよ……
 これ、今日も延長じゃないか」


愕然とする。
書き出した「やるべきこと」の紙に
チェックマークが半分もつけられていないことに。

work-todo-list-july-6
work-todo-list-july-6 / purpleslog

バイトの最初の頃のような
1回で終わる資料整理のような仕事ではなくて
だんだんとある程度の大きさの作業に切り分けて
数日かけてこなす仕事を
任されるようになった頃の話。


それくらいの大きさになると
自分で考えられる余白も広がってきたので
任せられた最初のほうは、
楽しくて楽しくて仕方がなかったのです。


ここはこうしてみよう。
あ、こっちのほうが良いかな。


思えば1回1回の仕事で培ってきたことが
あったからこそ
生きてくる仕事も増えていました。
おお、どんどん楽しくなってきたぞ。
がぜん張り切り始めたぼく。



が、

しかし、


上司1
「佐藤くん、これね」
仕事どーん
「はい」


上司2
「佐藤くん、これね」
仕事どーん
「はい……」


パートA
「佐藤くん、これね」
仕事どーん
「はい…?」


これは後で訊くところによれば
上司がぼくの処理能力を上げるために
意図的に仕掛けたことだったのですけど
それが分からぬぼくは、
いきなり仕事が増えて
てんてこまいになり始めて。


「どう考えても終わらねえ」


ただでさえ無い時間を、
逆に何をすれば良いのか分からないので
EnterキーとBackSpaceキーを叩いて
打ちひしがれ始める。


そして何度も何度も
同じ内容で書き出すToDoリスト。
ToDoリストだけが増えて行く。


そういう状態にボーゼンとするようになってから
しばらくした日のこと
「佐藤くん、あの仕事、終わった?」
上司が声をぼくの近くに寄って来ました。


いんや、終わっていません。


たぶん、終わってないだろうな。
上司もきっとそう思って声をかけてきたらしく
ぼくの座っている近くの椅子を
引っ張ってきて隣に座る。


「どうした?」
「いや、なかなか終わらなくて」
その言葉が素直に口から出ない。


「そうか、何が終わってない?」
上司の質問に、これとこれとこれと……と
デスクに山積みになった
クリアファイルの資料を指差し
うんうん、と
ぼくが指差すたびに
上司はうなずいていく。


一通りぼくが言い終わると
上司は、最後に締めくくるように
「そうか」
と言ってから、佐藤くん、と呼びかける。


「どうして自分でやろうとしている?
 ここは受験とは違うんだよ」
と。

クロワッサン
クロワッサン / Lucy Takakura



どういうことですか?
上司から少し目線を外して
そう言いたげな顔をしていると
上司は説明を重ねてくる。


「受験は分からないことは
 自力で解かないといけなかった。
 けど、仕事は違うよ。
 仕事は考えても分からないと思ったら
 聞くんだよ。相談するんだよ」


受験時代の英語教師の
「聞くは一時の恥、聞かぬは男の意地」
というシャレのような教訓を
大切にしていたぼくには
そもそも受験どうこうの前に
相談するのが苦手でした。


「相談ですか?」

「そうだよ、見回してみなさい」

そう言われて部屋を見回す。

「これだけ相談できる人が周りにいる
 だったら聞いてしまったほうが早い
 仲間は使ってナンボだよ」


確かにそうなのだが、納得がいかない。
「いや、ですけど、迷惑かかりますし……」

「どっちが迷惑だろうね」
上司がさらりと言う。

「え」

「佐藤くんの仕事は、
 佐藤くんだけのものじゃないんだよ。
 みんな君の仕事を待っている。
 完成度と速さの両方でバランスを取らないといけない」


佐藤くんだけのものじゃない。
その言葉は、重たいことでもあり
そして光栄なことでもありました。


Tea for two
Tea for two / naama


聞けばいい。
それはあっけないほど簡単な答えでもありましたが
学校教育で質問ということを積極的にして来ずに
働くことにまっこうから挑み始めたぼくには
新鮮なことでした。


30分考えてみたら
分かりそうな同じ課のパートさんに聞いてみる。
例えばそういうふうにしてみると
少しずつ少しずつ仕事は片付くようになりました。


ぼくが思っていたよりも
みんな優しく教えてくれる。
それは感動でした。

 *

ただ、そんな調子もつかの間
そこで更なる難関に出くわすことになります。


「課長……」
そう言ってデスクにぼくは近づいていく。
手に“問題の”リストを持って行く。


ん?と課長は書いていた書類から目を上げる。


「このリストなんですけど
 この課で分かることじゃないですよね…?」
自信の無さが語尾の小ささに出る。


課長はそのリストを一瞥すると
答えは決まってると言わんばかりに言う。
「だったらどうするの?」


求めていた斜め上から答えが返ってきて、
ぼくはたじろぐ。


「どこに行けば分かるの?」

「◯◯課…ですか…?」

「分かってんじゃん」


それは、
行ってらっしゃい
ということでした。


薄々気づいていた答え。


しかし、何が問題だったか。
同じ組織と言っても
課が違うというのは
ぼくにとって赤の他人と話すことで
とんでもないハードルだったのです。


そのハードルがぼくに
大きな経験をさせることになります。


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