大学に行くと自転車が、並びまくっていた。
「マジかよ、なんだよこれ」
男子くんがかったるそうに言った。
自転車置き場を見回っても置き場所がないのです。
「置けねえじゃん」
そう言って、もうひとりの男子くんと一緒に
わずかな自転車のスキマに無理矢理突っ込むようにして自転車を置いた。
「駐輪場狭いよ」
吐き捨てるようにその場を去る。
人が通るところに無様に半分程身を乗り出した自転車が残った。
自分の自転車を止める。
目の前の自転車を数台ちょっとずつ脇にずらす。
自転車一台分くらいならこれで空くじゃん。
文句ばっかりだなあまったく。
文句言う前に自分の頭をひねりまくりやがれ。
それでも旧帝大かよ、ばかたれ。
やれやれ、ぶつくさ。
不自由さが自分の目の前に広がる。
その瞬間に自分のことしか考えなくなる。
ついでに他のせいにする。
他が変わるのを待ち続ける。
気づけばおじいちゃん。
数分、いや数十秒の話。
自分の身体を動かしたらいいじゃないか。
それであっという間にみんなが晴れやかな顔になる。
わがままな人間がなんとかでも共に生きていける。
なあ、他人に期待って名前の丸投げするんじゃなくて
自分こそこの状況を何とかできるってすごんでみないかい。
まあ、たかが自転車ですけどもね。
そうだろう、男子くんよ。
そんなんじゃ世の中は動かねえぞ、男子くんよ。
君のその手はもっと世の中変えられるぞ、男子くんよ。