田水張る 水稲(すいとう)の風 めぐらせて
田んぼに水を張るから、風が強くなってゆくのだと、幼いころのぼくは思っていました。
「田水張る」
夏の季語が示すように
この時期、宮城では春から初夏に向かうころは、だんだんと田んぼに水が張られるわけです。
田んぼに水を張る理由はたくさんあります。
稲は水によって生育するからとか、
雑草を出るのを防ぐとか、
土に栄養分を送り込むためとか。
これから始まる稲作のために、準備を始めるひとつの景色なんですね。
東北本線から見える水が張られる田んぼの風景を見ると、
せわしない心も身体もどこか肩透かしをあったように力が抜けていく。
天気が良く、気持ち良く風が吹くような日は、
外に出て、座ってゆるやかな風を受けることが、
この地に住むひとつの贅沢。
宮城県古川
周りを田んぼに囲まれて育ったぼくは、田んぼが風を見せる風景の中で育ってきて。
幼いころ、「田んぼに水が張られると風が強くなるなあ」と思っていたんだけど
大きくなるにつれて、気づくわけです。
それは逆であることに。
本当は
田んぼに水が張られると風が強くなるのではなく
一年の中で風を意識するとき、そこにはいつも水が張られた田んぼがあったんですね。
春から初夏にかけるころ、田んぼに張られた水をゆらす風が見え出す。
夏になると、凛とし出した稲が緑の風を見せてくれて
秋になると、貫禄さえ漂うような金色の稲の風を見る。
ちょっとばかし何かが始まっていくような感覚を、
肩の力を抜きながら、今年もここで見ます。
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