どうでもいいけど、エレベーターよりもエスカレーターが好きだ。
エレベーターよりも、エスカレーターの方が好き。
寄り道の楽しさを教えてくれるから。
昔、高校生の時、現代文の文章だったかな、
「エレベーターは、今いる階から目的の階まで一瞬にして運ぶ。
しかしエスカレーターは、その過程も目に移らせながら運ぶ」
というのを読んで。
そっから意識しだして。
時間が切羽つまってない限りは、ゆったりエスカレーターでいくようにしている。
まあ、あれだ
手をつないだカップルが横並びにエスカレーター乗るのだけは
お兄さんゴールテープみたいにそこ走り抜けたくなるんだけどね。
今の時代は色んなものが「レコメンド」という形でオススメされて、自分にあったもんですよ、と言われる。
「プッシュ型」なんても呼ばれるけども。
あっちこっち無駄足を踏まなくても、欲しいだろうものが目の前に現れる。
けど、エスカレーターから見えるものは、何にもオススメしてこない。
こっちなんか振り向いてもくれやしないもんに、
自分から目線をぐいと伸ばし、
あの惣菜、んまそうだなぁとかわずかな嗅覚を伸ばしたり、
ああ、母の日にあのクリーム色の手帳はどうかな、とか思ったりして。
ぼくはデジタル時計よりもアナログ時計が好きで、もっと言うと砂時計が好き。
針が分と分の合間、秒と秒の合間をきちんと動いているのを見ると、
時間を方角みたいな感じで把握する。
「こっちからあっちに行く間に何してようかな」
人間は、「こっち」と「あっち」を一瞬のうちには切り替えられない。
どんなときでも、「こっちからあっち」がある。
出発地と目的地だけじゃないんだ。
人間の人生ってやつは。
その途中にあんまりにも豊かで彩な道が、幅広に伸びている。
そしてその道端に咲くものを想像力の手でいくらか紡いでいって、本来の目的地だったとこに着くと、最初想定していた景色とはだいぶ違うものが見えたりする。
道草しすぎて、我を見失うこともあるけれども。
エスカレーターは少しやさしく、少しだけいじわるに、ゆっくり上がる。
そうやってぼくはブックオフにたどり着くわけだ。
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