佐藤ノート№36 〜逆転への意志〜
「一日目が終わった夜に
もしかしたらこの子は本当に
死ぬんじゃないか、と思った」
僕の母は
僕が二浪目のセンター試験の思い出を
こう語る。
センター試験は
まさに大失敗だった。
他の受験生より
センターに力を入れてなかったから
「ある程度」できないだろうとは
予想できていたが
それに百歩譲っても
あまりに不出来だった。
それで一日目の試験終了後
僕はそれほど意識してはいなかったのだけれど
死んだような顔になっていたらしい。
思い返すと一日目の夜
珍しく寝る前に母が僕の部屋をのぞいてきた。
採点結果73%
二浪目のセンターの得点率は
受験期三回の中で最も悪いものだった。
各年で難易度は相対的なものではあるが
そんなに合理的に考えられない僕がいた。
何度も採点してみたが
得点計算は間違ってなかった。
志望校の安全圏得点率は80%
その差7%
しかし
同時に二浪目には
それまでよりも
ちょっとだけ強くなった僕もいた。
二日目終了後
僕はその足で予備校の自習室に向かった。
ネガティブになる暇を
自分に与えないようにした。
今からが
僕のやってきたことが花開くときだ。
そう思って
強くペンを動かす。
継続的な天才は強い。
僕が天才じゃないとしても
他の受験生よりも
記述力が高いことは自負していた。
たかが7%の壁。
センターが良かった人が浮かれている間に
僕は数学を一問確認する。
まだ逆転圏内にいる人が
リサーチの結果を見て憂いている間に
僕は英作文を一つ覚える。
そうやって距離は縮まり
カメは兎を追い越せる。
志望校を決定するための
担任との面談が終わった時
僕はセンターリサーチの紙を破った。
もう進むしかないのだから。
前方に希望を持てる人だけが
進んでいけるのだから。
そういう決意だった。
今日も素敵な一日でありますように。
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