佐藤ノート№22 〜死ぬ気でやれ、むしろ死ね〜
「死ぬ気でやれ、むしろ死ね」
そんな狂喜乱舞した言葉を
何かの紙の裏に書いて
部屋の壁に貼った。
貼ったのはたぶん9月あたりだったと思う。
ずっと計画的にやってきた。
吐くまでやれとか
連続何十時間勉強せよとか
精神論は嫌いだった。
適度に休憩をとらないと
絶対効率悪いと思っていたし
実際精神論を何回も実践しては
失敗していた。
だから
バスの中で音楽は聞いていたし
予備校を少し抜け出して
本屋に休憩しに行くなんてことは
普通に続けていた。
今振り返ってみても
それをやっていなかったら
一年間精神的に耐えられたかどうか
分からない。
ただ、9月がやってきた。
二学期の始まりは
春の始まりと同様に
意外と順調に思えたが
週末ごとに来る
模試とその復習に
あっぷあっぷしてしまうようになった。
成績にもシビアになって来る時期
というのもあって
春とは比べ物にならない苦しさになった。
人間は忙しくなるほどサボりたくなる。
フロイトという心理学者のおじさんも
そんなことを言っていた。
なんだかんだ言い訳をして
小休憩を取りたくなる
「今は休まないとだめだ」なんて。
でも本当は休まなくてもいい。
後数カ月
それくらい休まなくたって
死にはしない。
勿論
睡眠時間は削らず、家では勉強しない。
それは守ったが
予備校内では昼休み以外休まなかった。
頭は動かし続けた。
死ぬ気でやる。
と言ってやった後に死んだ人を知らない。
血を吐きながら勉強した人を
見たことがない。
一度きりの人生だ。
やるなら徹底的に
かつて一度死んだという気持ちが
僕をそこに連れて行ったのかもしれない。
ここで受からないと一生後悔する。
その一心がそうさせた。
そこまで思いつめなくてもいいが
そこまでやらないときっと後悔する。
死ぬ時も。